サックスバー独占インタビュー
グレゴリー プロダクトマネージャー:中島 健次郎 氏
ブランド立ち上げから 40 年以上の歴史を持つ「グレゴリー」。アウトドアブランドとして名を馳せながらもファッション性と圧倒的 な機能性を兼ね備えた構造は男女ともに人気の絶えないブランドへと進化を続けている。そんなグレゴリーからサックスバーでしか買えない別注アイテムとして 2 型が新登場。
「DUAL LIFE TOOLS」をコンセプトに様々なシーンにおける機能的な道具としての鞄を発信するPLUG。 2019年12月に発売したグレゴリーとの第1弾コラボレーション「EXERT」シリーズはアウトドアブランドが発信する上品な高機能ビ ジネスラインとして大好評となった。
そして今シーズンは、第2弾コラボレーションとして「OVERHEAD」シリーズが追加される。 今回の記事では本アイテムを手掛けたグレゴリー プロダクトマネージャーの中島健次郎さんに独占インタビューをを行った内容をご紹介します。
学生時代よりグレゴリーを愛用し、日本では別注企画やインライン商品など、プロダクト面の統括を担う中島健次郎氏。根っからのグレゴリーファンであった彼が生み出すプロダクトには一体どんな工夫が潜んでいるのだろうか。(聞き手:PLUG / 塩川雄三)
今回のコラボレーションシリーズについて
塩川:
今回の第 2 弾コラボはグレゴリーのクラシックラインに寄った別注だと思いますが、生産に至る 経緯やおススメポイントはありますか?
中島:
一言で言うと今回は『グレゴリーらしいクラシックラインをさらに追求した アイテム』です。まだグレゴリーを使ったことがない人達におすすめしたい、まさに『ファーストグレゴリー』。
塩川:
SAC’S BARでは通勤や通学用でスクエア型ののリュックが人気です。 型数を絞り込んだ今回の別注は色にこだわりたいと思った。その話の中で中島さんからご提案いただいたのが、「カーキ」そこに行き着いた理由はなんですか?
中島:
1年ほど前にスタートした企画ですが、まずは型を塩川さんに選定してもらい、カラーリングに関しては当初カラーブロッキングというツートーンの企画が上がっていました。いわゆるバイカラーですね。元々グレゴリーはバイカラーの色使いをしていたブランドなので、悪くないと思っていました。
塩川:
そうですね。個人的にすごく好きなテイストで、いいなと思いました。ただ、シーンや使い手のスタイルを選ばず使える汎用性の部分では単色カラーだよね、と。ツートーンにするよりは一色使いの方が長く使えるのでは、と言う話になったんですよね。
中島:
そうですね。でもせっかくの企画になにか面白味をミックスできないかという話の中で、グレゴリーらしさを感じてもらえる何か、を考えた時に、グレゴリーのインラインの企画時に過去の定番色をリリースしようという動きがあったんです。90’ s の「グレー(カーキ)」は多くの要望はあったが、なかなか 製品化につながらなかった…! そこで、今回、PLUGさんとのコラボ企画で「グレー(カーキ)」を復刻させたと言うわけです。
塩川:
これは我々の世代は好きなグレゴリーカラーですね。
中島氏は1997年当時のグレゴリーカタログを持参してくれました。ここにはクラシックシリーズの元となった、かつてのバッグ達が堂々とした姿で納められています。グレゴリーを知る上で希少価値の高い資料と言えます。
彼が指差すアイテムはグレゴリー90年代の代表カラー、グレーのボストンバッグ。このカーキのようにも見えるカラーは、当時グレーと呼ばれていました。様々は混色により、生地染めが行われていたため、見た目はカーキに近い状態でも色名だけは「グレー」として残り続けたなど諸説あると言われています。最終的にはグリーングレーと呼ばれていたといいます。「でも、どう見てもグレーじゃないですよね?」と中島氏は懐かしそうな表情で笑う。その笑顔からはグレゴリーに対する敬意と憧れ、そして何よりも底知れぬ愛情を垣間見ることができました。
カラーリングのこだわり
塩川:
確かにこのグレー(カーキ)持っていた人めちゃくちゃいましたね。
中島:
そうですね、しかし時代的の風潮の中で、一旦お休みしました。ただ、無くなったらみんなあの色やってよという声が多く、どこかで復活の機会を狙ってました(笑)
塩川:
それが「今」だった感じですね!
中島:
2020FWのインラインでは旧カラーの復刻としてチャコールグレーとラスト(レンガ色)を復刻させよ うと動いていまして。実はこのグレー(カーキ)も候補には挙がっていたんです。 今回の別注として作成したチャコールグレーはインラインにて復刻したものと同様のカラーです。 カーキはこの企画の為だけにもう一回、生地を90s当時のカラーに染め直しました。 ここにも90年代のリバイバル要素が詰まっています。
型ごとの特徴について
塩川:
ディテールや使い勝手の部分で、特徴はありますか?
中島:
グレゴリーは元々アウトドアのバッグブランドで、ティアドロップという流線形というか、おにぎり型のバッグなんですけど、以前『通学、たまに通勤』と言うコンセプトで作っていた時に荷物が入りにくいという問題が発生したんですよ。
塩川:
そうか、学生さんやビジネスユーザーだと教科書とか資料とかを持ち運ぶから…。
中島:
そうなんです。角張ったものが多いので、おにぎり型のバッグでは収まりが悪かったんですね。そういう経験も踏まえて、2015年頃から新しくスクエア型を出しはじめました。 この型は今の時代のニーズに合った型ですね。
塩川:
ショルダーパッド部分もグレゴリーらしい特徴がありますよね?
中島:
はい。グレゴリーリュックのショルダーはとても丈夫に強く作られています。それゆえ中身が軽い時などは、肩のラインに馴染まず直線っぽく立ってしまうんですよね。でもこれは使っていくうちに馴染むものですし、重い荷物を入れた時もしっかりと支えてくれて肩に食い込まない。一度使ったら他のリュックは背負えなくなるほど使いやすいんです。
塩川:
買ってすぐではなく、何年も使い込んでやっと自分の物になる。そんなところがやはりグレゴリーの最大の魅力だと思います。今回はクラッシックなベースを崩すことなく、今の時代にあった機能を盛り込んでもらうという難しい作業だったと思いますが。
中島:
そうですね。あまりにもテクノロジーを盛り込みすぎてしまうと、クラッシックラインでは無くなってしまいますし。そういう意味では少し抑え気味と言うかオーバースペックにならないように作っています。でも今の時代はマイボトルを持ち歩いたりする人も多いし、スマホも 持っているので、ご要望の多かったサイドポケットを付けたり、時代にマッチするように作りました。
塩川:
昨今、GREGORYを選ばれるお客様に変化はありますか?
中島:
実は、コロナになってすぐグレゴリーのお店にすごく沢山の問い合わせがあったそうなんですよ。今まで内勤でお仕事されていたビジネスマンの方達からですね。ごく最近は我々のGREGORY直営店でもPCを持ち歩き出来るデイパックの問い合わせが増えています。今まで内勤されていたPCを持ち歩きしない方が必要にかられお探しになられています。それでパッと思いついたのが、学生の頃に愛用していたブランドであるグレゴリーだったと。
ビジネスバッグは少し敷居が高いというか、でもグレゴリーなら馴染みのあるブランドだし普段使いもできる。そんな理由で多くのお客様から「○cm×○cmのパソコンが入るバッグはありますか?」と言う質問が殺到したようです。実際、女性の方達からも多くのお問い合わせがありました。
塩川:
確かに最近、GREGORYのリュックを背負う女性増えてきましたよね。
これからグレゴリーと出会う人へ
塩川:
今回のオーバーヘッドシリーズはどんなシーンにおすすめですか?
中島:
近年、グレゴリーは 20 代~の女性にも選ばれることが多いです。第1弾の “EXERT シリーズ” は見た目にも機能的にもかなりキャリアビジネス寄りだったのですが、人によってはオーバース ペック。作り込み過ぎていて、必要過多の機能性で持つことを躊躇してしまう背景がありました。今回のオーバーヘッドシリーズは男性女性問わずデイパック・ウエストともに気負わず持てる、ある 意味、「脱力感」のあるアイテムです。ウエストバッグは休日のミニマムバッグとしては世の中に 定着していますよね。
塩川:
ウエストバッグのトレンドは根強いですね。今回の企画はレザープル(引手)をインラインとは 異なるブラックのレザーを使用してもらったのも特徴です!主張しすぎない引手なので、 様々なコーディネートに自然に溶けこむと思います。
中島:
そうですね。すっきりしていて、使えるシーンが豊富にあると思います!
塩川:
最後に一言お願いします。
中島:
今回のオーバーヘッドシリーズはPC スリーブがついていたり、小分けのポケットが装備され ているなどの機能性だけではなく、カバンとしての耐久性、最低限必要な機能を盛り込んだクラシックラインです。必要以上のオーバースペックではないため、気負わずに持てる、軽い、 グレゴリーらしいシリーズです。年齢・性別を超えてオン&オフをカバーするグレゴリー入門バッグとしても出会っていただきたいと思っています。
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